応募期間
2023年6月15日 - 2023年12月31日
第2回 IGGネイチャーフォトコンテスト2023
① テーマ「ネイチャーと光」(風景や野生の動植物、ネイチャーに含まれる全ての要素を光と空間を意識して写した作品。)
② 原則として本人が撮影したカラー写真に限ります
※過去の作品でも可。
※人工物が写り込んでいても大丈夫です。
③ 5枚1組として応募してください。
1人1回まで応募可。
第一回に引き続き、美しい作品が揃いました。
今回は全体的に、ダイナミックというよりも深みを感じる作品が多くを占めていたのがとても印象的です。
ダイナミックな作品は一点での力強さはありますが、5枚の中に入れた際の扱い方が難しいというのが一因にあると思われます。5枚の中で世界観を作り上げ、尚且つ魅せる為には知識や発想とイメージ力が必要となります。
今回受賞された皆様は、この世界観を作り上げるためのイメージ力に秀でていたという印象を受けました。素晴らしい作品の数々を感謝いたします。
審査員長:写真家・瀬尾拓慶
展示・授賞式の様子
受賞者・作品一覧
超難関を通過した「美しい光」を宿す作品達
最優秀賞
都築 篤史
作家コメント / 講評 / 使用機材
[コメント]
自然を写真に写すまでは特に自然への関心もなく日々を過ごしていました。
カメラを持ち、自身の好きな写真を探していく中で自然の中で撮られた写真に強く惹かれていき、
気づけば自然風景の写真を主に撮るようになっていました。
初めの頃は手軽に行ける場所から撮っていましたが、徐々にのめり込み森に入るようになりました。
日々自然の中で森の美しさや光を追い求めて撮影をする中でゆっくりと、また時に激しく姿を変える自然を目にしました。
深い森に入る中で目印としていた木が気づけば枝が落ち、倒れて見るも無残な姿に成り果てています。
そうした中で自然な中で変わる姿を受け入れながらも、人の手でこれを大きく壊してしまうことはあってはいけないと身に沁みて感じました。
写真を撮っていく中で、写真集や雑誌などの印刷媒体に触れてプリントに興味を持ちました。
デジタルになり作品がSNSを通じて大量に上げられている時代だからこそ一枚一枚の作品を大切にするためにも
プリントは大きな意義を持つと思っています。
[審査員講評]
昨年の優秀賞、そして今年は最優秀賞と素晴らしい飛躍を見せてくれました。
前回の作品も美しかったのですが、今回の作品は5枚での揃え方が洗練されています。
それにより、都築さんの持つ独特な光の表現へより深く没入することができます。
光の捉え方や構図の構成力、そしてチャンスをしっかりと捉え切る技術が垣間見える作品たちでした。
今回銀塩プリントで製作する作品として選んだ一枚は、この5枚の中でも特出して光と色の表現が美しいです。
木にぶら下がるサルオガセからはこの場所がよく霧が出る場所なのだということがわかります。
そしてそれを証明するように浮かぶ淡く繊細に切り取られた霧。
木々の入れ方や色味、全てが美しい一枚です。
素晴らしい作品をありがとうございます。[使用機材]
・PENTAX 645Z
・K-1markⅡ
FUJIFLM X-T3
・HD PENTAX-DA645 28-45mmF4.5ED AW SR
・smc PENTAX-FA645 80-160mmF4.5
・HD PENTAX-D FA★70-200mmF2.8ED DC AW
・FUJIFILM XF16-80mmF4 R OIS WR
作品説明
「光響」
緑が旺盛になる夏に苔むした森へ足を運びました。
普段はこの森で光芒をほとんど見たことがなく、この日も正直あまり期待してませんでした。
暗い内から森に入り、朝を迎え陽が差し始めると1本、また1本と光芒が森に入り始め、とても幻想的な姿を見せました。
苔むした森に光が満ちて、まるで喜んでいるような姿をイメージしてフレーミングをしました。
中心にある苔の生えた小さな木にバックライトが当たり輝くところを狙い、生命の力強さを写しこむようにシャッターを切りました。
作品説明
「浄化」
季節は秋になり、徐々に色づき始めます。
湿原には一面に草紅葉が色づきとても鮮やかでした。
その中で緑のサルオガセを纏った木が何かを主張していました。
草紅葉とサルオガセの控えめな緑の色の対比がとても美しく感じました。
湿原を優しく包み込むような光がとても幻想的でした。
作品説明
「別れの涙」
春は様々な花が咲き始めて賑やかになる季節です。
そんな中、森に入ったときにこの桜と出会いました。
マメザクラの木の傍らに倒れた幹が一つ。
その幹に別れを惜しむかのように片腕を伸ばして佇んでいました。
散った花びらが倒木に舞い、まるで倒れた木に別れを惜しんで涙を流しているように見えました。
華やいだ春とは対象的な悲しい姿がとても印象的で、美しさの中にある余韻を感じて1枚目に選びました。
作品説明
「冬燃ゆる」
冬は木々から葉が落ち雪が降り、景色はモノクロームになります。
そんな中でモノクロームの世界にも朝日が差し、雪で覆われた木々を照らして色づきます。
マイナス10度を下回る極寒の朝に、朝日に照らされた木々たちがまるで激しく燃えているかのような鮮烈な光景で、私まで心が燃えるような気持ちで撮影をしました。
展示した時のバランスを考え、4:3から3:2へトリミングしています。
作品説明
「追憶の渓」
秋も深まり、木々が美しく色づく中で深い渓谷には影が落ちます。
綺麗に色づいた葉も落ちて行きます。
渓谷に影が落ちる中、光の当たる場所にはまだ黄色く色づいた木々が秋を謳歌しており、落ち葉との対比の儚さと美しさに惹かれました。
暗い渓谷には濡れた岩が光を帯び、謳歌した秋を映します。秋の間の美し
優秀賞
秋山 和寛
作家コメント / 講評 / 使用機材
[コメント]
私は地元長野県を中心に自然の風景を撮影しております。
自然風景の持つ美しさをもっと見たい、もっと感じたいとの思いから撮影を続けています。
何よりも自然の中に身を置き、自然を見つめながら撮影する瞬間が好きで、自然との対話を大切にしています。
自然が作り出す景色は、同じ場所でも訪れる度に毎回違う表情を見せてくれるため、
まだまだ知らない景色をもっと探求していきたいと思っています。
今回の5作品は全て長野県内で撮影した写真です。
四季折々の美しい表情はもちろん、晴れの日、雨の日、風の強い日、様々な光を切り取った写真たちを見てもらえたら嬉しいです。
[審査員講評]
光への憧れを抱く作品。
それが、秋山さんの作品の第一印象でした。 派手さやダイナミックさとはかけ離れた、圧倒的な静とノスタルジーの世界。
心の琴線に優しく触れ、いつまでもその感覚が余韻として残る。
眺め続けていたいと思ってしまう魅力を持っています。
撮影しているシチュエーション自体は決して特別では無いはずなのに、秋山さんが切り取ることで特別性を帯びる。
これはフォトグラファーにとって、とても大きなアドバンテージとなります。
秋山さんの作品の切り取り方は、純粋にその場所の姿を映し出すという作風ですが、だからこそ見る側が受け止め安いのだと思います。
[作家使用機材]
・PENTAX K-1 MarkⅡ
作品説明
繊細な桜の花びらと樹齢何百年にもなる立派な幹。
そのコントラストが美しいと思い切り撮った1枚です。
太陽が沈む前、西日で花びらが照らされる瞬間を狙いました。
奥から太陽に照らされ、花びらが透き通りキラキラと煌びやかに輝いていました。
作品説明
秋も終わりに近づき、葉が散り始めると少し寂しい気持ちになります。
それでも木々や葉は暖かい朝日に照らされるとキラキラと輝き始め、気持ちまで暖かくなりました。
日が昇る瞬間は、撮影していて一番特別な瞬間だと思います。
作品説明
3月の冬の終わりごろに撮影した写真です。
まだ雪も多く残り、枝はうっすらと霧氷に覆われ冬の景色が残っていました。
霧氷に覆われた枝は繊細で美しいものです。
冬も終わりに近づき、木々たちは春が訪れるのをじっと待っているようでした。
作品説明
まだ日が昇る前の薄暗い時間に撮影した写真です。
あたりはうっすらと明るくなり始め、木々たちは風に吹かれて音を立てていました。
特別な瞬間を撮影した写真では無いですが、その場の空気感を表現したいと思い撮影しました。
作品説明
雨の音を聴きながら静かに撮影する時間もまた、森の中に自分が溶け込んだようで気持ちのいいものです。
霧で反射した柔らかな光が木々を包み込み、幻想的な空間が広がっていました。
普段であれば気に留めないような景色ですが、霧によって立体感が出て美しい景色へと変わっていました。
優秀賞
高林 紗弥香
作家コメント / 講評 / 使用機材
[コメント]
私は北海道の知床半島と言う場所で暮らしながら撮影をしています。
知床半島は山と川と海がとても近い距離で繋がっており、その急峻な地形と、気象条件により、光の状況が刻一刻と移り変わります。
もともとは、知床のダイナミックな生態系に漠然と憧れを持っていましたが、今はその2度と同じタイミングの来ない光の中で、
野生生物と同じ光を浴びながら野生生物の暮らす環境を撮影する時間がとても好きです。
知床には沢山の写真家が訪れます。
カメラを誰でも持つことのできる時代となり、自然が消費的に撮影されていくことに少し寂しさを感じています。
知床の生態系、美しさを伝えていけるようになりたい、そのためにはプリント等、作品として見ていただく機会を
作りたいと思い応募いたしました。
知床の多様性の象徴として大型の野生動物がクローズアップされることが多いですが、
魅力はそれにとどまりません。
大型野生動物が暮らすことのできる環境もとても美しいのです。
最初作品を見た際に、その世界観に心惹かれました。
[審査員講評]
動物の姿を主役として写していてはいますが、しっかりと北海道の自然環境の奥深さと美しさを感じることができます。
SNS等ではどうしても被写体が小さく写っている作品は見栄え的に避けられがちになってしまいますが、
高林さんの作品は「動物写真」から離れた、本来の自然の美しさを引き出されているのが素晴らしいです。
特に狐と鹿の作品は、プリントとして展示する事により、その世界観がより鮮明なものとなりますね。
また、動物の写っていない作品も最初は様々な考察をしましたが、タイトルが「みち」と書かれていた為、
なるほど、ここは高林さんにとっての「道」なのかと納得しました。
5枚1組による構成という点に於いては、最も優れていると私は思います。
[作家使用機材]
・PENTAX KP
光の海
ここで生きる
みち
彼誰時の水辺で
またあの丘で
佳作
Nao Akimoto
作品説明
北海道旭川市から、車で40分ほど。
旭川市の隣に芦別市があります。
芦別市は炭鉱で栄えた町ですが、現在は「星の降る里」として星がとても綺麗に見える町です。
作品の撮影は5月下旬。
全国的にも田植えは終わった頃。
この場所は少し高い場所にあり、
唯一まだ田植えはされていませんでした。
この時気温は一桁の気温でとても寒い夜でした。
田植えされていない田んぼに満天の星空に天の川が写り込み、
シャッターを押し忘れそうになる。
そんな夜空でした。
[撮影地]北海道芦別市
[作家使用機材]
・SONY a7M3
・SEL14F18GM
・kani filter
LPRF+partial soft focus
・Leofoto LH-40+LS364C
佳作
大石 良則
作品説明
秋が終わり冬へと変わって行くこの季節流れ落ちる滝の向こう側から冬の柔らかい陽光が入ってくる、そして黒々とした岩肌に光が当たりはじめ寒さの中にも暖かさを感じるようになってきた。
しかし確実に冬へと時が流れて行く。
落ち葉が秋の名残惜しい気持ちを感じさせる。
やがて日差しが滝へと差し込み水の流れに溶け込むかのように美しく感じさせてくれる瞬間でした。
佳作
久保 隆史
作品説明
被写体の中でもキタキツネが一番好きで、北海道の様々なところに探し回り、見つけてからも一日中隠れて張り込むことなどをして撮影をしてきました。
野生動物なので思った場所に行ってくれないことがほとんどです。
また警戒されると逃げられてしまうことがあるので、キツネの生態を理解し、観察を続けることで、少しだけキタキツネの自然の一瞬が撮れるようになってきました。
佳作
Claudius Lai
作品説明
この写真は、北海道にて寒さと戦いながらタンチョウのねぐらで撮影しました。
日の出前の神秘的な霧と共にタンチョウの活動を捉える瞬間は、言葉では表現しきれない美しさでした。
太陽光の変化やキラキラと光る霧氷も特別な瞬間です。
貴重な姿を魅せてくれた彼らに感謝したいです。
[作家使用機材]
・Nikon Z6ii
・NIKKOR Z 100-400mm f/4.5-5.6 VR S
佳作
見上 徹
作品説明
地面に生えていた葉っぱがまるで蝶が羽を広げているかのように見えました。
コントラストを上げて葉をより強調し、見る人が一瞬であっても「蝶」と錯覚するよう意識しました。
[作家使用機材]
・FUJIFILM X-T3
・XF18-135mm F3.5-5.6 R LM OIS WR
佳作
門間 龍一
作品説明
奥多摩にあるダム湖、白丸湖の早朝の景色。
パックラフトという空気で膨らませるカヌーで湖上から撮影した。
朝日による美しい透過光が印象的で撮影した。
この日は写真奥に靄も発生しており奥行きを演出してくれて、望遠で撮影したことにより水面の輝きも綺麗なボケとなった。
当たり前なことではあるが、肉眼で見て美しい景色があって初めて美しい写真は生まれる。
美しいと感じる心と確かな撮影技術をこれからも追い求める。
[作家使用機材]
FUJIFILM X-H1
佳作
薄井竜雅
作品説明
真っ直ぐに伸びる杉の木とサルオガセを撮影しました。
ほぼ日没して光が少なく鬱蒼とした杉林の中、上が開けている空間に雲から反射した淡い光が差し込んでいる瞬間を写した1枚です。
[作家使用機材]
・PENTAX K-1 Mark II
・PENTAX K-3 Mark III
・HD PENTAX-D FA★70-200mmF2.8ED DC AW
・smc PENTAX-DA★300mm F4ED [IF]SDM
・HD PENTAX-D FA 24-70mmF2.8ED SDM WR
・smc PENTAX-FA 31mmF1.8 Limited
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